創業(事業)計画書の作り方&書き方_はじめに
これから独立される美容師の方向けに創業計画書(&計数計画)の作り方(*)を解説します。
* 創業計画書と計数計画と事業計画書:
ここでは、創業計画書とは、創業時に作るこれから創業する事業についての計画内容をまとめたものを指します。 計数計画とは、計画を数字で表現したものであり、貸借対照表と損益計算書とキャッシュフロー計算書の形をとります。 損益計算書の売上であれば、単価と客数などに分解し、詳細に計画内容を表現していきます。 事業計画書とは、創業後の追加融資などに用いる計画書を指します。
創業計画書なんて人生で1回しか作る機会はないでしょう。 2店舗目を出店するときには、金融機関に追加の融資をお願いすることになりますが、 その場合は「事業計画書(&計数計画)」を作ります。
結論から言ってしまえば、 創業計画書(&計数計画)を自分で作ろうとしてはいけません。 時間の無駄です。
それはなぜか。
創業期にはオーナーしかできない仕事(*1)が山ほどあるからです。
*1 創業期のオーナーにしかできない仕事はとても重要
例えば、コンセプト設計など。コンセプトには一貫性が求められます。 なぜか? 内外装のデザインなど後工程のすべてに影響するからです。 コンセプトがブレブレではコストが高くつきます。 創業期にその仕事に失敗してしまうと、失敗を取り返すコストはかなり大きくなります。
創業計画書(&計数計画)を創業者自身が作ることをたとえるならば、 美容室のお客様が自宅で自分の髪を切るようなものだからです。
美容師の方でも、ご自身で自分の髪を切ってはいないはずです。 自分で自分の髪を切るのは簡単ではありません(*2)。
*2
バリカンで坊主くらいならできます。私も公認会計士試験の受験勉強をしていた大学の3年から4年の間は、自宅でビニールを敷いて買ってきたバリカンで坊主にしていました
自分の髪を切って失敗したら、1か月程度はろくに外にすら出られません。
それが嫌だし、プロに切ってもらった方がかっこよくしてもらえるから、 小学生にあがったころくらいから多くの人は1時間あたり5,000円から7,000円程度を支払い、 理容室か美容室で髪を切ってもらいます(10分の1,000円カットでも時間換算では6,000円です)。 そういえば先日、QBハウスが2023年4月1日からカット料金(1200円)を1350円に引き上げられると発表しました。
つまり、 不慣れなことはそれを作りなれていて、技術もあるプロ(専門家)に依頼しましょう ということです。
その理由はシンプルです。
- 失敗したときのコストが大きすぎるのと、
- 一生に何度もすることではない
- 創業計画書が作れても、美容師としての価値の向上に何ら貢献しない
- 不慣れなことをすれば時給✖それに費やした時間分の機会コストが無駄に発生する
からです。
創業計画書の作成は、1時間で終わるものではありません。私共が作っても数十時間を使います。
創業される方の人生プランを丁寧にお聞きし、人生プランから事業プランにブレイクダウンし、それを年度計画、月次計画にまで落とし込み、すべての計画を数字に引き直します。
お金の貸し手である金融機関の担当者の方に事業計画の蓋然性を説明しなければなりません。
なにより、ご自身の頭の中の計画をテキストに起こし、コンセプトなどを写真やイラスト・図などでわかりやすく整理し、数字に置きなおしてみて、ようやく頭の中の「創業計画」が立体的なものとして理解できるようになります。
もちろん、ざっくりとした創業計画書をご自身で作ったとしても、政策金融公庫から融資してもらえることもあるでしょう。 実際に、政策金融公庫の創業計画書のひな型では非常にざっくりとした数字計画を記載することしか求めていないからです。
参考:政策金融公庫の創業計画書のひな型における計画数字の該当箇所
後述しますが、私共が作成する計数計画の例
年次計画



月次資金表

ざっくりとした数字計画で事業を始めてしまって大丈夫ですか? 事業の成功確度を少しでも上げたくありませんか? 数百万円の借入債務をそんな簡単に借りちゃって大丈夫ですか?
繰り返しになりますが、 創業計画書(&計数計画)を自分で作ろうとしてはいけません。 人生の時間は有限です。美容師として投資すべき箇所を間違えないでください。
ぜひ、私共と一緒に創業計画書(&計数計画)を作っていきましょう。
お問い合わせはこちらから。
なぜこのような記事を公開しているかといえば、
- 私共がどのような考え方、アプローチで事業計画書を創業者の方と共につくりあげていくのか
- そもそも創業自体が初めてで、専⾨家に何を相談して良いのかよくわからない、創業計画書って何?
なとといったことを知って頂くためです。
それはちょうどスタイリストの方が撮影した「スタイル」をSNSやWebで公開したり、 施術の過程を動画などで説明するのと同じです。
それでは本編へ進みましょう。
創業(事業)計画書の作り方&書き方 - 第Ⅰ章 創業動機・事業経験編